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ソーシャルメディア運用ガイドラインを定める

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「復旧状況をどのように確認するか?」「誤情報の拡散防止・炎上対策」でコミュニケーションツールとしてのインターネットの価値とリスクにつて述べてきましたが、インターネットの中でも特にFacebook・Twitter・mixi・Google+など、ソーシャルメディアの利用率は増加の一途をたどっています。ソーシャルメディア上での炎上によって企業ブランドイメージの失墜してしまう事件・事故に関するニュースを見る機会が多くなっている一方、東日本大震災の発生直後においては、ソーシャルメディアを利用することで迅速に安否確認等が行えた事例も数多く報告されています。

ここでは、企業がソーシャルメディアを効果的に活用にするポイントについて解説します。

ソーシャルメディア利用は増加の一途

消費者 (生活者) として私たち自身の日常生活を振り返ってみると、友人知人を含め、ソーシャルメディアはもはや「当たり前」な存在と言ってよいほど、普及しているのではないでしょうか。

パソコンだけでなく、タブレット端末やモバイル機器 (携帯電話やスマートフォン) からも気軽にインターネットにアクセスできるようになったこともあり、「いつでもどこでも」ソーシャルメディアにつながっているという人も、少なくないでしょう。

「インターネット白書2012」(インプレスR&D インターネットメディア総合研究所) によると、2012年5月時点での日本のソーシャルメディア人口の推計値は5,060万人だそうです (昨年の3,530万人から1,530万人の増加。特にこの2年間は加速度的に伸長しているとのこと)。この人数は、インターネットユーザーの50.2パーセントに相当します。

そのうち、投稿や書き込みなど、何らかの情報発信を行っているユーザーは65.0% (3,290万人) にのぼると推計されています。

また、ソーシャルメディア利用者のうち、スマートフォン経由でソーシャルメディアにアクセスするという人は、昨年の14.8%から29.9%に倍増しているそうです。

ソーシャルメディアでの炎上は企業経営の大きなリスク

このような急速な伸長の一方で、ソーシャルメディア上での機密情報の漏えい、プライバシーの侵害、第三者の名誉棄損といった事件・事故が多発しており、それによるブランドイメージの失墜が原因で、業績の大幅な下落や、廃業に追い込まれてしまうケースも出てきております。

会社として、ソーシャルメディアを一切利用しなければ安全なのではないか?といった意見を耳にすることもありますがそれは間違いです。実は、企業公式アカウントよりも、個人アカウントが発端になっているケースの方が多く、個人アカウントは企業で利用の規制ができないため、何もマネジメントしないということは、リスクを放置していることと同義になってしまいます。

適切に利用すれば、むしろ企業にとってプラスに

ソーシャルメディアには炎上のリスクがある一方で、企業活動 (ビジネス) の一環として、ソーシャルメディアを活用することは、企業経営や顧客との持続的コミュニケーションを推進するうえでメリットがあります。

ソーシャルメディア活用の効果に注目されるきっかけとなったのが東日本大震災です。

ネットレイティングス株式会社(現:ニールセン株式会社)の「東北地方太平洋沖地震発生週のインターネット利用動向調査結果」によると、震災直後にソーシャルメディアの利用数が急増したという報告がされています。
また、株式会社Beat Communicationの「震災時のソーシャルメディア活用状況の実態調査」では、ソーシャルメディアが「いち早く情報を取得するため」や「多くの人に情報を発信するため」、「家族や社員の安否確認のため」に広く利用されていたという報告がされております。

災害時にソーシャルメディアがこのような利用された背景としては、リアルタイム性の高さ、(電話の弱点である)複数人に対する情報発信、世界中設置されたサーバ(インフラ)による安定したアクセス環境などがあります。これらの特長を踏まえて、企業として適切にソーシャルメディアを活用すれば、災害時に求められる情報を迅速に発信することが可能であり、従業員、取引先、顧客との連絡手段としても有効手段となります。

このような大規模災害時のコミュニケーション手段としての活用のほかにも、ソーシャルメディアの長所を押さえて、平常時からうまく利用することができれば、企業としてのブランドイメージの向上や、従業員・取引先・顧客といったステークホルダーとの良好で持続的な関係構築に貢献します。以下に、ソーシャルメディアの主な7つの特長を列挙します。

ソーシャルメディアの主な7つの特長

  1. 金額的に安価で始めることができる
    ソーシャルメディアの各サービスは、基本的に (標準的な機能であれば) 無料で使うことができます。
  2.  顧客との接点を長期的に持つことができる
    地道で誠意のある情報発信や顧客対応を、継続的に行なうことが前提となりますが、これによって顧客との関係を、長期間にわたり次第に深めてゆくことができます。
  3. 情報の拡散性が高い
    ソーシャルメディアの各サービスは、たとえば Twitter の「リツイート」や Facebook の「いいね!」「シェア」といった機能によって、情報がバイラルに (クチコミのように人から人へと) 拡散しやすいという特性を持っています。
  4. リアルタイムなコミュニケーションがしやすい
    ソーシャルメディアの各サービスは、一般的な Web サイトやブログに比べて、素早く情報発信 (投稿) がしやすいという特性を持っています。
    また、ソーシャルメディアの多くは時間軸 (タイムライン) を基本としているため、発信された情報に対するリアクション (コミュニケーション) もリアルタイムなものになりやすいという特性を持っています。
  5. 顧客からのポジティブな反応が期待できる
    ソーシャルメディアの利用者は、自分が情報発信をすることによって、他人 (友達など) から「すごい」「センスがいい」などと思ってもらいたいという欲求を持っています。
    企業から発信される情報に対しても、それに言及することで自分のセンスを示す (品位を高める) ことができるものであれば、利用者はポジティブに共有しようとします (リツイートやコメントをしたり「いいね!」ボタンを押したり、など)。
  6. セルフブランディングがしやすい
    ソーシャルメディアをうまく活用することによって、セルフブランディングを向上させることができます。セルフブランディングが成功すれば、自社のサービスをコモディティ (差別化特性がなくなり「どの会社のものを買っても同じ」状態になった大衆商品) として埋もれさせることなく、唯一無二の存在として、値下げ競争に巻き込まれずに済みます。
  7. 世界中とつながることができる
    メジャーなソーシャルメディア (Twitter や Facebook など) は、世界中にユーザーがいます。英語など外国語でのコミュニケーション (情報発信や顧客対応) ができることが前提になりますが、自社のブランディングを高めることができれば、海外進出の足掛かりになるかもしれません。

企業としてソーシャルメディアを有効活用するためのポイント

それでは、どのようなことに気を付けてソーシャルメディアを企業活動に取り入れていけばよいでしょうか?企業によって活用の仕方はさまざまですが、以下のような点を考慮するとより有効に活用できます。

 ソーシャルメディアを使う目的を明確にする

なぜソーシャルメディアのアカウントを作って運用するのか? という目的を自社のビジネスの観点から明確にします。サービス情報の発信を主たる目的とするケースもあれば、顧客サポートを行うケース、あるいはCSR活動を中心に据えるケースもあるでしょう。

対象顧客と扱う情報を明確にする

ソーシャルメディアのアカウントを使って、「誰に対して」「どのような情報を」「どうやって」発信するかを明確に定めます。こうすることで、内容的に首尾一貫した情報発信が可能となり、情報の受け手 (つまり顧客側) から見た場合に好印象や信頼感につながります。

他の媒体との連携方針 (役割分担) を定める

自社サイトと、ソーシャルメディアのアカウントをどう連携させるか (各々の役割分担をどうするか)を検討します。同様に、他媒体との関係についても併せて検討しておくと、ソーシャルメディアをより一層、効果的に活用することができます。

ソーシャルメディアは手軽に情報発信ができて便利な一方、情報が断片的で精度も低くなりがちです。信頼できる情報を確認するための受け口として、自社公式サイトや紙媒体などを整備することも大切です。

運営体制を整える

ソーシャルメディアのアカウント運用のための、責任体制や人員体制を整備し、担当者をアサインしておきます。具体的には、以下のような役割があります。

  • 責任者(情報発信内容や顧客対応など、アカウントの言動に責任を持つ人)
  • 管理者 (担当者の運用をマネジメントする人)
  • 担当者 (実際に情報発信や顧客対応を行なう人)

顧客対応のルールを定める

投稿内容に関する制限や禁止事項をあらかじめ定めておき、スタッフ間で共有しておきます。

内部向けと外部向けにそれぞれ運用ポリシーを「見える化」する

内部向けには、ソーシャルメディアを運用するにあたっての、具体的な体制やワークフロー、マニュアル類を整備し、「運用マニュアル」として、社内スタッフがいつでも閲覧できるようにするとよいでしょう。

外部向けには自社サイトに、ソーシャルメディア運用を紹介するページを用意し、その中で、自社のソーシャルメディアへの取り組み姿勢(ソーシャルメディアポリシー)を明言するとよいでしょう。その中では、信頼できる情報の出所を明確にするために、企業としての公式アカウントを宣言しておくことが望ましいです。

継続的なスタッフ教育

ソーシャルメディア上でのコミュニケーションのお作法として、以下のような点に留意し、これが徹底できるように継続的な教育を行うことが、炎上の予防や緊急時の効果的な活用につながります。

  • 文面や画像など、コンテンツの「品位」に十分気をつける。
  • 一方的な宣伝を続けざまに発信しない。
  • 正直であること。「うそ」「なりすまし」「やらせ」はしない。
  • 虚偽の情報を発信しない。情報ソースで真偽を確かめたうえで発信する。
  • 他者を批判したり、誹謗中傷したりしない。
  • 喧嘩を売らない。喧嘩を買わない。
  • 中立の立場を守る (政治に関する発言は特に慎重に)。
  • 機密情報 (非公開の経営情報や財務データ、訴訟や法務に関する事柄、企業戦略や将来予測、研究調査による成果、営業上の秘密事項や顧客情報を含む) を漏洩しない。
  • 他者の権利 (著作権、肖像権、など) を侵害しない。
  • 関係者 (取引先、同僚、家族など) のプライバシーに関する情報を発信しない。
  • 一度発信した情報はインターネット上で拡散される (自分で完全に消し去ることができない) ものと考え、慎重に発言する。
  • 発言者の立場と、最終的な責任の所在を明確にする (特に企業公式アカウントの場合)。

トラブルになった時の対応方針を定める

ソーシャルメディアを運用していると、少なからずトラブルに見舞われる可能性があるものです。自社に落ち度がある場合、自社に落ち度がない場合、自社アカウントとは無関係な場でのトラブルなど、トラブルにもさまざまなケースがありますが、どのような場合でも、早急な事実確認をし、迅速で誠意ある対応を取ることが欠かせません。

具体的な対応方針については、最終的には各企業の責任と判断において、行なわれるべきものであり、対象顧客や事業内容によってあるべき姿は異なりますが、いずれにしても、企業として何も決めずにいるのではなく、事前に対応策をまとめておき社内に浸透させておくことが望ましいでしょう。

■ソーシャルの荒波を生き抜く企業となるために

以上のことをお読みいただいても、「ソーシャルは難しそう」「よくわからない」「本当に必要なのだろうか?」といったことを考えている方も多いかもしれません。しかし、ソーシャルの波は世界中で爆発的に広まっており、企業規模や事業内容を問わず、企業運営には見過ごす訳にはいかない影響力を持つようになったことは事実です。ほとんどのソーシャルメディアは無料でアカウント開設ができますので、まずは、自身でアカウント作成し試してみてください。また、ソーシャルメディア活用については全国各地でセミナーが多数開催されています。そのような場に足を運んでみるのもよいでしょう。ただし、単なる機能の説明に終始しているセミナーや、ツールの販売を目的としてセミナーなども多く存在します。企業のコミュニケーション手段としての本質をとらえ、経営者としての判断の助けとなるセミナーを選びましょう。

また、社内にはすでに個人的にソーシャルメディアを利用している、詳しいスタッフも多く存在するかもしれません。そういった人材を活用し、企業として戦略的にソーシャルメディアを活用するためのプロジェクトを立ち上げてみてはいかがでしょうか?

谷川 雄亮

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