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誤情報の拡散防止・炎上対策

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インターネットの普及により、発信される情報の量や情報取得の機会も急激に増えてきました。その一方で、情報マネジメントが行き届かずに誤った情報が出回ることによって混乱が生じ、時には炎上というトラブルが発生してしまうリスクも高まってきました。緊急時は情報の出し手も受け手も平常通りとはいかないため、誤情報が行き交うことによるリスクは高まります。

ここでは誤情報の拡散を防止し、正確な情報伝達を図るためのポイントや炎上してしまった場合の対処方法について解説します。

炎上とは

炎上とは、Wikipediaでは「サイト管理者の想定を大幅に超え、非難・批判・誹謗・中傷などのコメントやトラックバックが殺到すること」と定義されています。ブログやソーシャルメディアでは、特別な設定をしない限り、誰でもコメントを投稿したり、他者の投稿に対してメッセージを返したりすることができます。これらはコミュニケーションの幅を広げる便利な機能である一方、情報の受発信に対する敷居が下がったため、これまでは「ヒヤリ」で済んでいたことがいわゆる「炎上」につながってしまうリスクも高くなりました。

日経デジタルマーケティング記者の小林直樹氏は自身の著書である『ソーシャルメディア炎上事件簿』(『ソーシャルメディア炎上事件簿』小林直樹(著)・日経デジタルマーケティング (編集)、日経BP社、2011年)の中で、炎上のパターンを(1)やらせ・捏造・自作自演、(2)なりすまし、(3)悪ノリ、(4)不良品、疑惑、不透明な対応、(5)コミュニティー慣習・規則の軽視、(6)放言・暴言・逆ギレの6パターンに分類しています。

一度「誤情報の拡散」や「炎上」が発生してしまうと、情報のコントロールができないため、アカウント廃止にとどまらず、企業のブランドイメージの低下や、売り上げの減少、さらには廃業に至ってしまうケースさえあります。そのため、「誤情報の拡散」や「炎上」は緊急時に2次災害を引き起こしてしまう要因となってしまうだけでなく、企業が事業継続におけるリスクの根源にも成り得ます。

ソーシャルメディアを使わなければトラブルは起こらない?

そもそも、なぜ「誤情報の拡散」や「炎上」といったトラブルが引き起こされてしまうのでしょうか?筆者はWebの活用支援を本業としておりますが、ご相談いただく企業の経営者や担当者様との会話の中で、このようなシーンに何度も遭遇しました。

 「そもそもソーシャルメディアが原因なのだから、ソーシャルメディアを使わなければよい」

「(経営者が)インターネットやソーシャルメディアはあんまり使っていないし、よくわからないから、若い者に任せている。炎上?ニュースで聞いたことはあるが、うちはあんまりネットを営業活動に使っていないから大丈夫だろう。」

「ソーシャルメディアの重要性はわかっているが、トラブルが怖いから導入したくない」

はたしてこれらは「誤情報の拡散」や「炎上」トラブルに対する正しい理解でしょうか?
これまでの炎上事件の発生経緯を見てみると、多くの場合「公式アカウント」の場で行われた発言や対応が原因ではなく、「個人アカウント」の場で行われた発言や対応が原因で発生しています。つまり、顧客も社員も個人としてソーシャルメディアを利用しているため、 公式アカウントがあろうがなかろうがトラブルのリスクは既に存在しているのです。企業にとってソーシャルメディアを使うことよりも、使わないリスクのほうが大きいといっても過言ではありません。だからこそ情報をマネジメントしていくことが大事ということになります。

「誤情報の拡散」や「炎上」を防止するための情報マネジメント

このように「誤情報の拡散」や「炎上」を引き起こしてしまう原因はさまざまですが、そもそもそのような事態にならないよう、未然に防ぐことが大切です。

予防対策の第一歩がWebサイト運用ガイドラインの策定です。Webサイト運用ガイドラインとは、関係する社員やスタッフ向けに企業がWebサイトを運営する目的やルールを規定し、関係者が個人としてソーシャルメディアを利用する際に守るべき事項や規範を定めたものです。また、社内向けのガイドラインに加えて、企業としての運用方針をまとめたソーシャルメディアポリシーを策定して公式サイト等で対外的に公開するケースも増えてきています。(検索エンジンで「ソーシャルメディアポリシー」と検索するとソーシャルメディアポリシーを掲載している企業のWebページがたくさんヒットします。どのようなものがあるかチェックしてみてください。)

こういったWebサイト運用ガイドラインやソーシャルメディアポリシーの策定ができたら、次はスタッフ・関係者に対しての教育研修の実施です。対応方針の明文化と研修による周知徹底を行うことで、「社員・スタッフ・関係者の自己判断による安易な情報発信」や「炎上直前の不適切な対応」によるトラブルを予防することにつながります。

次に、顧客、取引先や一般市民など対外的な対応策ですが、ここで有用なのが公式Webサイトの有効活用です。公式サイトを「正確な情報発信源」として常に最新の正しい情報を取得できる場にしておけば、公式サイトを見てもらうことで誤解が広がることを未然に防ぐことに寄与します。また、さらに取り組みが進んでいる企業は、企業の公式ソーシャルメディアアカウントを自社サイトで宣言することで、ソーシャルメディア内での正確な情報発信源がどこなのかを明白にするというケースもあります。

いずれの場合においても重要となることが、マネジメント層自らもユーザーとしてインターネット、特にソーシャルメディアを利用してみるということに尽きます。自身で利用してみることで、インターネットの持つ価値やリスクを適切に把握し、経営的な判断を下すことができるようになります。そのうえで、CIO(最高情報責任者)をトップに情報マネジメント体制を定め、平常時はもちろん、トラブル発生内容に応じた対応方針や権限を取り決めておくことが大切です。

トラブルが発生しまったときは

最後に、トラブルが実際に発生してしまった場合の対処方法について解説します。ただし、トラブル対応は最終的には各企業の責任と判断において行なわれるべきものです。ここからは、トラブル対応策を自社内でまとめていただくにあたっての一般的な参考としてご覧ください。

基本は早急な事実確認

トラブルの対応で、まず大事なのは、「事実確認」です。トラブルが、虚偽の情報を基にしていたり、誤解に基づくものであったりする可能性もあるので、早急に「事の真偽」を確かめることに、まずは注力しましょう。

事実確認を通じて、事の真偽や実態が明らかになると、自分たちに落ち度があるか否かが見えてきます。それによって、適切な対策が変わってきます。

また、早期に火種を発見するための方法としては、エゴサーチという方法もあります。エゴサーチとは自分 (自社) の名前やサイト名、ブランド名、商品名、サービス名などを Web 上で検索して、自分 (自社) に対する評価を確認するという行為のことです。エゴサーチを通して、くすぶっているトラブルのもとを早期につかめれば、対応策も先に打てるようになります。

自社に落ち度がある場合の対応

自社の公式アカウントでの発言、および自社スタッフの個人アカウントでの発言によって、(悪気があるか否かにかかわらず) 結果的に第三者に迷惑をかけた場合は、事実関係を確認のうえ、企業として早急に謝罪する必要があります (ソーシャルメディア上で謝罪のツイート/投稿をするだけでなく、自社公式サイトのリリースとして正式な謝罪文面を公開するとよいでしょう)。

その際、事の経緯や、今後の再発防止策なども、併せて説明しましょう。

重ねてになりますが、「何もせずに、ほとぼりがさめるのを待つ」という判断は、往々にして火に油を注ぐ結果を招く (いわゆる「炎上」につながる) ので、決してしてはいけません。

自社に落ち度がない場合の対応

自社に落ち度が無くても、自社公式アカウント上でネガティブ発言や反応を目にしてしまうケースもあるでしょう。この場合も、事実関係を確認のうえ、迅速で誠意ある対応が求められます。

寄せられたネガティブ発言が事実に基づかない「誤解」や「言いがかり」である場合、相手を挑発しない表現で、その旨を説明することが望ましいです。ただし、「正論」を言うことで、かえって相手が逆上してしまう可能性がある場合は、慎重な判断と対応が必要です。

自社アカウントとは無関係な場でのトラブルの対応

自社公式アカウントの投稿とは独立した (無関係な) かたちで、自社に関する何らかのネガティブな発言がなされるケースもあります。その発言内容に、自社側の落ち度が認められない場合は、そのままにしておく (つまり余計な喧嘩は売らない/買わない) ことが基本になります。

ただし、自社に対する営業妨害 (売上損失やブランドへの悪影響) が著しい場合は、相手に発言撤回を求めることも検討してよいでしょう。その場合、周りを巻き込んで世論を形成して相手を追い詰めることは得策でないことが多い (相手は喧嘩を売られていると解釈する) ので、非公開の場(当事者同士のみのコミュニケーションの場)で交渉することが望ましいと言えます。ただしその場合も、相手の出方によっては、勝手に公開される可能性があることも想定し、慎重に発言する必要があります。

ウェブサイトが起因となる緊急事態の対応

ウェブサイトからの情報漏洩やウェブサイトの乗っ取りなどが自社の事業継続の障害となる場合があります。そのようなことが起きないように日々のセキュリティ対応をするとともに、万一そのような事態に陥った場合には災害時のインシデント対応と同時に「ステークスホルダーへの正確な情報の提供」「必要ならば新しいサーバーを立ち上げ」といった対応をすることが大切です。

「いざというとき」のために押さえておきたい用語解説
  • ソーシャルメディア
    誰でも格安もしくは無料でアカウントを設定し、参加することで社会的関係を構築できるネットメディアの総称。
  • Webサイト運用ガイドライン
    社員や内部関係者向けに、企業としてのWebサイト運用の目的や利用を促すための考え方や具体的な指針を定めたもの。
  • ソーシャルメディアポリシー
    社外向けに、企業としてのソーシャルメディアに対する考え方や、利用方針を定めたもの。
  • CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
    HTMLの知識が少なくてもWebサイトの更新運営をスピーディに低コストで実現できるようにするためのWebサイト作成・編集システムの総称。

谷川 雄亮

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